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花粉症の注射について


 いつもブログご愛読いただきアありがとうございます。



 また、温かいコメントを頂く方にはさらに感謝です。




 さて、先日の記事に関してのコメントに
チラッと「花粉症の注射」に関する
お話がありましたので、ここで捕捉させていただきます。






 花粉症を含めたアレルギー性鼻炎に対する
ステロイド局注は大変危険ですので、
絶対おやめください。





 以前も、このブログでとりあげた事ありますが
ずいぶん前でしたね。

注射」←クリックしてご覧になれます。




 海外では重篤な感染症になった事例もあるとの事ですし、
命にかかわらないまでも筋注部位の筋肉が委縮するので、
注射部位の肉がえぐれたように陥凹することはかなり多いようです。




 脂溶性のステロイドなので、いったん注射しちゃうと数カ月続くので
途中でなんかおこった時に中止できない、
というのも困る点です。




 若年者では成長障害が、高齢者では骨粗鬆症、高血圧、糖尿病の悪化が懸念されます。




 眼圧上昇、女性の方は不正出血等々、
他にも色々な副作用があり、
もちろんガイドライン的には「禁忌」です。




 最近では、鼻粘膜にこのステロイドを注射する病院もあり、
九州で1件、近畿で数件の失明の事例があり、
耳鼻咽喉科学会の医事問題委員会からの注意喚起が出ているところです。




 花粉症の治療で、失明しちゃったのでは、
わりがあいませんね。




 くれぐれもご注意を。




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アレルギー性鼻炎、花粉症のトピック



 なぜか数日間、ワタシのパソコンがインターネット不通になってしまった。



 病院のパソコンやいiPadに関しては大丈夫だったので、
概ね日常生活には影響ないが、
ブログ更新が滞ってしまった。






 先週のガッツの結婚式からさかのぼること3日。





 ワタシは足利や佐野の耳鼻科や内科、小児科の先生が集まる
さる講演会で座長を仰せつかった。





 座長というのは、ま、学会の司会進行役である。




 その日のメインの特別公演は
福井大の耳鼻咽喉科の教授である藤枝先生の講演であった。





 アレルギー性鼻炎の分野では日本の権威であり
ワタシの尊敬する先生の一人である。




 開会前の打ち合わせや、終了後の懇親会で
いろいろお話させていただき光栄でした。

008_20130204142816.jpg
 全くガッツの結婚式を含め1週間で2回もスーツ着ちゃった。
(実はこの研究会の協賛で開会前に「製品紹介」をしてたのは、
結婚式を2日後に控えた添野君その人でした。
オレもガッツも普段はまじめに働いているんだよ。)



 なんてったって、この先生の講演は面白い。




 ユーモアやウイットに富み、
専門的な話を実にわかりやすくお話しされる。





 大体、ムズカシイ話を難しく話す事は誰でもできるのであって、
ムズカシイ話を簡単に説明できるのがホントに頭の良い人だと常々思っている。




 しかも、世の中には簡単な話を、
あえて難しく話すアホウどもが多くて困る。





 特に、政治家とか、お役所からの書面による連絡、通達とか。






 学校の先生にもいたなあ。






 やや、話それましたが、
その夜もいろいろ藤枝先生にタメになるお話伺いました。






 その中でニュースを2つ。






 以前「減感作療法」といわれていた、毎週アレルギーの原因物質を注射していく
いわゆる「体質改善」の方法。






 藤枝先生をはじめとした研究グループの努力によって、
注射でなく「舌下」による免疫療法が
いよいよ日の目を見そうです。






 今シーズンの花粉症には無論間に合いませんが、
ワタシも勉強してそのうちこのブログで詳細をお知らせいたします。





 9月に藤枝先生が主幹となる日本鼻科学会が開催されますので
是非詳細を聴いてこようと思っています。





 注射せずにできるなら、免疫療法の適応も
ぐっと広がるはず。





 あと、もう一つ、これは「おまけ」としておっしゃってましたが、
いろんな民間療法のうち、
これまでは「ヨーグルト」以外は効果が無い と言われてましたが、
最近の研究により「甜茶」の効果も実証されたようです。






 毎日とることにより、アレルギー性鼻炎に効果あり、とのことですが、
もちろん甜茶飲んでれば花粉症出ない、というわけにはいきませんので、
くれぐれもご用心くださいね。




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鬼が笑うが、笑いごとではナイ


 今週末は文化の日で連休である。



 ああ、連休は楽でいいなあ。



 ここんとこ、忙しくなってきたし。



 今年の夏はずっと暑かったのに、一気に木枯らしが吹いて、
間がとんじゃったような感じである。





 さて、暑い夏で気になることがひとつ。





 実は、これ9月の両毛地区のさる研究会で発表した事であるが、
来春、スギ・ヒノキの花粉は
非常に多いと思われるのでご注意。




 スギ・ヒノキの花粉は年によってその飛散量に大きな格差がある。






 米の作況指数なんてのもあるが、
スギ・ヒノキはヒトの手が入らない分、
自然現象、気候状況に大きく左右されるのだ。






 前年夏の平均気温、日照時間、降水量により、
スギ・ヒノキの花粉量の多寡が決定する。





 すなわち、前の年の夏の気温が高く、日照時間が長く、
降水量が少ないほど花粉が多くできる、という事だ。






 先日、発表のため資料を調べたら
平均気温が7月が+0.7℃、8月が+1.1℃、
日照時間が7月が110%、8月が128%、
降水量は7月が87%、8月が61%(いずれも関東地方平年比)

と、相当ヤバいデータだ。




 ここ数年、花粉量が非常に少なかったので、
花粉症が治ったかと思ってる人は要注意。
(実は昨年は多かったが震災直後、放射能の影響で、
外出、戸外活動が大幅に制限され、花粉症が軽いヒトが多かった。)




 今から、3月の海外旅行の計画でもたてるのがいいかも。





 (オレも若干逃げ出したい気がしなくもないが・・・・。)



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今飛ぶといひしばかりにスギ花粉

 今飛ぶといひしばかりにスギ花粉、
     弥生の月を待ちいでつるかな



 【解釈】スギ花粉が今すぐ飛ぶと言ったばかりに、待ち続けついに3月(弥生の月)になってしまったことだ。


 【解説】2月にもうすぐ花粉が飛びますよと(オグラセンセイが)言ったので、
     その気になって待ち構えていたら
     (ロクに飛ばないうちに)3月になってしまったという花粉症患者さんの
     ほっとしたやら、しかし、これでいいのかというゆれる心を歌った歌。

     初期治療として、花粉情報を見ながら始まりそうになったらら飲み始めてね、と言われ、
     早々、1月下旬に薬をとりいって待ち構えていたが、
     一向に花粉情報では、関東地方の全体が青色の「少ない」から動かない。

 【語訳】「今飛ぶと」:「今」は「すぐに」の意味
     「いひしばかりに」:「し」は過去の助動詞「き」の連帯形で、「ばかり」は限定の副助詞。
     「まちいでつるかな」:「待ちいづ」は「待っていて出会う」の意。
                完了の助動詞「つる」の連帯形と詠嘆の終動詞「かな」が付いている。

       (用例)「まちいでつるかな」⇒「待っていて出会ってしまったことだよ。」
           「あれはつるかな」⇒「あれはつるなんだろうか。」
           「それはかめかな」⇒「それはかめなんだろうか。」
           「これはこみねかな」⇒「これはショーグンさまの娘。」



 今年の冬はやけに寒く、記録的な大雪や低温を観測してるようだが、
影響でスギ花粉の飛散開始も大きく遅れています。



 まあ、1月末から多少なりとも洩れとんではいるのだが、
一般的な飛散開始とはまだ言えません。



 梅の花なんかも開花が遅れてるようで、
梅まつりなんかを毎年やってる梅林なんかは、
お客さん来なくて大変みたいですね。




 もともと、今年はスギ花粉飛散量は少ないだろう、
と言われたこともあって、患者さんの関心は一般に低く、
薬とリに来る人も少ないみたいです。




 一因には昨年は花粉量はそれなりに多かったのだが、
意外とみんな軽く済んだ方が多いという事実。




 花粉が一番多い時に地震で原発が爆発して、
特に子供たちに「外出ちゃイカン」ということが徹底したため、
花粉暴露量が少なかった。




 しかも、ガソリンも無くなっちゃったので、
おとーさんもゴルフに行かないし、
おかーさんも、買い物はなるべく出ないで
まとめ買い、家にあるもんで何とかする、
なんてことが多かったので、
日本国民(特にここら辺)の人は総じて花粉吸入量が少なかったはず。



 みなさん、油断しないでください。




 まあ、このまま少なく推移すればいいのですが。




 ただし気になることがひとつ。





 スギ花粉はもう夏のうちに作られて、できています。




 これを、スギの木は春のうちに残らず吐き出すのだ。




 開花が遅れた梅は、早咲き、中咲き、遅咲きが一気に開花して、
帰って楽しめる可能性もあるとニュースで言ってました。





 もし、気候の関係でたまっていたスギ花粉が一気に放出されたら・・・・・。




 花粉量はトータル量も重要ですが、
実はピークの花粉数は発症者数に大きく影響する。





 スギ花粉は1個や2個入っても、症状は起きません。




 ただし一時に大量に吸って花粉症が発症すると、
その後は、少量の花粉、さらには花粉でなく、
温度、気圧、湿度、機械的刺激(埃っぽさなど)別の刺激でも、
花粉症の発作が誘発されます。





 今年は大丈夫じゃんなどと思ってるスギ花粉症の方、
雨の上がった後など、くれぐれも厳重にご注意を。




 これを機会に、また花粉症の事をよく知りたい、という方は、
右のカテゴリ内の「花粉症」をクリックしてご覧ください。




 「花粉百人一首」の過去作品もあります。






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PTSD(Post Traumatic Stress Drug)?

 筑波嶺(つくばね)の 峰より落つる スギ花粉
   ちりぞつもりて 山となりぬる


  【解釈】筑波山の峰の方から飛んでくるスギ花粉が積もり積もって山のようになったことだ


  【解説】震災後の原発事故の放射能騒ぎで、茨城県筑波山の方では
      黄色く積もったチリが放射性物質か、と問題になったが、
      実は山から飛んできたスギ花粉であったという。(実話)

      「ぬる」は完了の助動詞「ぬ」の連体形で「ぞ」の結び。

      <用例>風の音にぞおどろかれぬる
          花ぞ散りぬる
          (よって)鼻がぬるぬる




 桜の花が咲きだしてスギはもうあとちょっとかなあ、
でもヒノキがあるしなあ、という今日この頃。



 めっきり気温が上がり、S2000をオープンで走りたいが、
家族に花粉症がいるのでダメ。



 我が家の車は2月からずっと窓も開けず、
エアコンも内気循環である。






 さて、当院では様々な花粉症の薬を使っています。



 そこら辺の市中病院よりは はるかに多く、
大学病院よりも多いかも、というのは
オレがアレルギー性鼻炎薬オタクだからだ。
(調剤薬局には負担かけてますかね。)




 しかし、数あるアレルギー性鼻炎の治療薬の中で唯一といっていいほど
ワタシが処方しない薬がある。




 一般的には結構出てる薬だが、そのワケは・・・。




 実はワタシ、大学病院時代、専門はアレルギー性鼻炎で、
アレルギー外来を担当していた。
(群馬県で初めてスギ花粉を測定したのはこのオレなのだ。)



 そんな頃、ある製薬会社から新薬の治験の依頼があった。



 新薬が世に出るためには、フェイズⅠからフェイズⅢまでの段階的試験がある。



 そのうちフェイズⅡ、フェイズⅢの治験の一部を担当した。



 具体的には患者さんに説明と同意を得たのち、
新薬と偽薬を用いて薬の効果を調べる実験である。




 原則的に他の薬剤は使わず、単剤で行くわけだ。




 新薬だからきっとすごく効くんだろうなあ、
などと思いつつ、患者さんにもそんな思いを含めて説明し、
実際に試してもらった。




 しっかし、これが、効かね~!!




 薬を出した相手の誰に実薬で、誰に偽薬かはこっちにはわかんないんだけど
(これを二重盲検試験という)
ともかく みんなハナぐじゅぐじゅ。




 それでも、す、すいません、もう1週間ナントカ飲んでください、
と平身低頭でお願いする。




 今思えば、その年は花粉も多かったし、
いかに効く薬でも、マスクやその他の防御をしないと
症状を抑えられないのは当然なのだが、
期待した分、(あるいは患者さんに期待させた分)
ワタシの中でその薬の印象は非常に悪いものになった。





 それでも、治験成績集計の結果、
薬剤の有効性が認められ、
その薬はその後晴れて世に出たわけだが・・・・・






 ・・・・未だにオレとしては処方できないんだなあ。






 その薬の名前は・・・・・








  ・・・・・・・・・・・・・










 いや、さすがにここには書けないので、
知りたいヒトは個人的には教えてあげます。




 誤解無きよう、もちろん、アレロックやザイザルほどではないけど、
リザベンなんかよりはちゃんと効く薬ですよ、一般的には。
(リザベンをケロイド以外で処方する先生は、さすがにもういないだろうなあ、)





 ただ、オレにとっては「PTSD(Post Traumatic Stress Drug)」なのだ。




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やすらはで寝なましものを

やすらはで寝なましものを さ夜更けて
    かたぶくまでのティッシュを見しかな



 【解釈】(こんなことなら)さっさと寝てしまったのに、
      鼻をかみ過ぎてゴミ箱に山と積もったティッシュが傾くまで
     (ずっと鼻をかみながら)夜を明かしてしまったよ。


 【解説】「寝なましものを」「まし」は反実仮想(現実には起こらなかったことを、
              もし起こればと想像すること)の助動詞で、「ものを」は逆接の接続助詞。
     「さ夜ふけて」 「さ」は言葉の調子を整えるための接頭語で、
              全体で「夜は更けて」という意味になります。
     「ティッシュをを見しかな」「かな」は詠嘆の終助詞で
              「ティッシュの山を見たことですよ」という意味。

    (用例)「のどけからまし」⇒「のどかであろうに」
        「うれしからまし」⇒「うれしかったであろう」
        「無いよりはまし」⇒「スギ花粉の時のガ-ゼマスク」
        「無いほうがまし」⇒「小学生がアゴにかけてる花粉用マスク」




 今年も例年通り当院の玄関にはしばらく前から張り紙が。


001_convert_20110311133610.jpg


 近づいてみるとこう書いてあります。
003_convert_20110311133714.jpg

 皆さん、よろしくお願いします。



 気温もだんだん上がって来ましたが、
もちろん病院の窓は開けるわけにはいきません。



 今年は花粉が特に多いので、大変です。



 しかも、本番はまだまだこれからです。




 過去最高だった平成17年に迫る勢いです。




 幼稚園生は外遊び禁止、小学生もお昼休みに外に出てはダメです。




 学校や幼稚園の先生にも事あるごとに言っています。




 卵アレルギーの子に無理やり卵食べさせますか? 



 光化学スモッグ注意報が出たら子供を教室に入れますよね?





 花粉症に関して、まだその辺をよく理解していない先生がいらっしゃるのが嘆かわしいです。




 被害者は子供です。





 これを読んだ教育、保育関係のセンセイ方は速やかに適切な処置をとってください。





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花粉症の検査と発症

 あしひきの山鳥の尾のしだり尾の 
         長々しハナを一人かむなむ



 【解釈】(花粉症で)山鳥の尾のように長い長いハナ水がいつまでも切れず一人かむのだなあ


 【解説】「あしひきの」は「山(山鳥)」にかかる枕詞
     「山鳥の尾の」山鳥」はキジ科の鳥で雄の尾が非常に長いと言われ
     「長いこと」を表す時に使われる。
     「の」は連体格助詞で「…で」や「…であって」の意味。
     全体で「山鳥の尾であって」のような意味になります。
     
     「しだり尾の」「しだる」は「下に垂れる」という意味の動詞で
     連用形「しだり」に「尾」が付いた名詞。
     「の」は「のような」の意味の格助詞で「下に垂れる尾のような」の意味。
     最初からここまでが、「長々し夜」を導き出す序詞になります。
     大変くどい言い回しですが、
     それが、花粉症のかんでもかんでも出てくるハナの忌まわしさを
     強調した形になっています。


     枕詞は次の語句を引き出すもので決まっています。
    <用例>「あしひきの」⇒「山、峰」
       「あおによし」⇒「奈良」
       「ぬばたまの」⇒「髪、黒、夜、夢」
       「おぐじびの」⇒「ロックな耳鼻科」
       「むなげぶる」⇒「ガッツなベース」




 先週木金あたりから、この地方でも花粉の本格飛散が始まり、
いよいよ来た、という感じであるが、
やはり飛散開始は「平年並み」だったので、
2月の中旬くらいだと思うから、その辺から薬始めてねー、
と呼びかけてた患者さんたちはちょうど良かったことと思います。



 さて、バンドの話ばかりでは申し訳ないので、
少しためになる話を。



 病院に行くと血液をとってアレルギーの検査をすることが多いと思います。



 これは IgE という物質を測定しています。


 IgEは免疫グロブリンの一分画で本来体を守る免疫系のパーツなのですが、
体の「誤解」により、無害な物質を攻撃してしまう物質です。



 この「無害な物質」がスギ花粉だったりヒノキ花粉だったり、
ハウスダストやイエダ二などで、これらは「抗原」と呼ばれます。



 「抗原」なんて言うと「悪の元凶」みたいなイメージですが、
被害妄想に陥った人体が誤解のもとに
「くしゃみ」「鼻水」「鼻詰まり」「流涙」で「攻撃」を加えるものなので、
花粉側にしてみれば迷惑千万な話です。



 さて、ここで今回言いたいのは、
スギIgE抗体価が高い≠スギ花粉症
ということです。




 スギ花粉の侵入によって体がIgE抗体を作っても、
まだそれだけでは花粉症になったとはいえないのです。



 完全に解明されてない面もあるのですが、
アレルギー発症のためには、もうワンステップが必要です。



 多くの方は抗体上昇から速やかに発症しますが、
抗体が陽性のまま発症しないヒトもいます。





 だから、血液検査で「スギ花粉症です」といわれても
今まで花粉症の症状が出たことが無ければ、
花粉症の薬を飲む必要はありません。




 そのかわり、さらなる花粉の吸入によって、すぐにも発症する可能性があるので
花粉症のヒトと同様に、マスク、コート、帽子、眼鏡などの
「花粉防御」は厳重にすべきです。



 一旦発症しちゃうともう、戻れませんから。





 その最後のステップにインターロイキンという物質がかかわってるという説があるので、
これをブロックする「アイ・ピー・ディー」という薬は、
この時点の患者さんにひょっとして有効ではないかと個人的には考えているんですが、
確証が無いので特にお勧めしていません。
(高い薬だし、マスクの方がゼッタイお勧め)





 この間聴いた講演では、
抗体陽性者のアレルギー発症は50歳を境にぐっと確率が減る、そうです。





 実は、家族内で唯一花粉症の無い私、
今、51歳なので、もはや、逃げ切ったか?
(そりゃもうトシだってことで、ちょっとサビシイ面も・・・・。)



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すぐに身に降るながめせしまに

花の量はうつりにけりないたづらに
        すぐに身に降るながめせしまに



 【解釈】花(スギ花粉)の量はうつろいいくものだから
     何もせずぼーっとしてるとすぐわが身に降ってきますよ。


 【解説】スギ花粉の量は年ごとに大きく異なる。
     昨年少ない花粉量だったので
     治ったかと思ってぼやぼやしていると
     あっという間にわが身に降るように襲ってきて大変ですよ、
     という作者の警告を述べている。

    「いたづらに」は「むだに、むなしく」の意。
    「ながめせしまに」は「眺めせし、間に」で「もの思いにふけっている間に」であるが、
    「ながめ」は「物思い」と「長雨」の掛け言葉、
    この場合、その前の「ふる」も「時間が経過する」と「雨が降る」の掛け言葉である。


    用例)ながめせしまに⇒もの思いにふけっている間に
       ながしまに⇒ながしている間に
       おう、かねだ、ひろおか⇒おう、金だ、拾おうか



   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 江戸の安政年間、紀州有田の濱口儀兵衛は
大地震のあと、海の水が引いて行くのを見て、
津波の襲来を予感し、自らの稲わらに火をつけて、
祭りの準備に気をとらわれている村人に避難を呼び掛け、
結果的に9割以上の村人の命を津波の被害から救ったという。




 最近かかる患者さんの中に、
耳鳴りや、風邪、インフルエンザなどで受診したが、
カルテをひっくり返すと、以前花粉症での治療歴のあるヒトがいる。




 ここ数年、花粉症の薬をとりに来てないが、
そういったヒトに、花粉症は大丈夫ですか、と訊ねると
他で薬をもらってるから大丈夫、という方がいる。




 それはそれで、結構なので、
内科の先生なんかでは説明しない様な専門的な注意事項だけ説明して終わりになる。
(これも大変だけど)



 問題は、

「最近は、症状があまり出ない。」

とか

「以前は花粉症があったが、もう治った。」

などとおっしゃる方である。




 そういった方には、メンドクサイけど、
ここ数年、特に昨年の花粉の量が少ないことを説明し、
花粉症が基本的には治らない病気であることを説明し、
今年がどれだけ花粉が多いかを話し、
薬を出すか、また、薬なしで防御を強化して、
少しでもヤバければ来てもらうかなどの相談をしなきゃならない。




 忙しい時にカルテの前のページにそういった事実を発見すると
ああ、見なかったことにしたいなあ、という気持ちが芽生えるのだが、
濱口儀兵衛の話を思い出して、勇気を奮いたたせて話し始めるのであった。



 津波、来ますよ。



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田子の浦に


田子の浦にうち出でてみれば真っ黄色にぞ、
      富士の高嶺にスギは降りつつ



 【解釈】田子の浦まではるばる来てみると、富士山に真っ黄色にスギが降っているようであるよ。


 【解説】田子に浦に出て富士山が見えると、スギの花粉が多いためか、
     真っ黄色にけぶって花粉が降っているかのようで、
     今年は花粉量が多くて困った、という作者の嘆きを表している。


     この歌、万葉集では、「田子の浦に~降りつつ」ではなく
     「田子の浦~降りける」となっている。
     この場合の「ゆ」は細いところを通って、広いところに出る、という意味を持っている。
     したがって解釈は「田子の浦を通って視界の開ける場所に出てみると~」
     と訳さねばならない。


     用例)長道恋ひ来れば⇒長い道のりを恋慕いて来ましたら
        FC東京、チェザーナインテルに⇒FC東京、チェザーナを通ってインテルに
        川原温泉に行く⇒川原を通って温泉に行く



  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 そういえば八ッ場ダムのとこの川原湯温泉はどうなるんでしょう。


 なんてことより、忙しくてブログどこではなかった。



 急にあったかくなって、花粉も飛んじゃうんじゃないか、
とあせったヒトは、私以外にも多かろう。




 昨日土曜日は花粉症の薬をとりくる方が多数来院し、
まあ大体は年いっぺん来る方々だが、
昨年の状況をうかがい、今年は昨年の5~10倍ですからどうしましょう、
と作戦を考える。




 薬の種類を変えるか、このままで行くか、また何か追加するか。




 そして、また花粉対策のポイント、注意事項を確認して、
また来年会いましょう、
今シーズンの成功を祈る、なんて。




 それにしても、診察、相談して話すこと多いので早口で説明するんだけど、
処置や検査をするわけでないので、診察料だけなんだなあ。




 内科だと患者さんの顔見るだけで
「特定疾患ナントカ加算」「生活習慣病管理料」とか、いろんな点数が取れるんだが、
耳鼻科はそういうのがないのだ。




 まあ、アレルギーの薬は高いので、
患者さんは薬局でいっぱいお金払うから、
耳鼻科外来でお金いただくの申し訳ないからまあいいんですけど、
けっこう説明疲れるんですよ。




 そう、どっちかっていうと、お金の問題より実際悩んでるのは
ライブがあるので、声帯をあまり酷使したくない、ってことなんだなあ。
(毎日、外来終わると声がガラガラです。)




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身も焦れつつ

 全く、ここんとこ駆け込みレーザーが多くて大変だ。


 今年の花粉がスゴイ、という情報はマスコミを通じて駆け巡ってるらしく
レーザーにすがろうと病院に訪れる。



 もう、予約はかなりいっぱいだけど、
それでも何とかやりくりして手術を入れてます。



 もうちっと、早く来ていただきたいですなあ。



 毎日毎日ぼくらはレーザーで鼻を焼いてていやんなっちゃうよ、
とタイ焼き屋のおやじか、
はたまた、土用丑の日近辺のウナギ屋のおやじか、
という今日この頃だ。


 このレーザーはスギ花粉が飛散を始めちゃうと
もう間に合わないので、あとわずかなのだが、
早く飛ぶか遅く飛ぶかわかんないので、
とりあえず、もう少し予約を受けています。



 でももうすぐ締め切っちゃいますよー。


    ・・・・・・・・・・・・・・・

 来るスギをまつ帆の浦の夕なぎに 
           焼くやレーザー身も焦れつつ




 【解釈】いずれはやって来るスギ花粉症を待ちながらレーザーをやってる私は
     もう疲れて、自分のレーザーでこの身が焦げそうですよ


 【解説】迫りくるスギ花粉の猛威におびえつつも、
     こう毎日レーザーばっかでは身が持たんなあ、肩もこるし。
     いっそ、花粉が飛べばそれも終わるが、そしたらもっと大変だしなあ、
     という作者のジレンマが歌われています。

     松帆の浦は現在の淡路島ですが、「待つ」と「松」をかけています。
     ついでに作者は「スギ」と「過ぎ」をかけているので、元歌の藤原定家の上を行く??

     「焼くや」の「や」は「間投助詞」。
     調子を整えたり感動、詠嘆の意味を添えたりする。
     (用例)行く春、鳥啼き魚の目は泪(奥の細道)
         きりぎりす鳴く霜夜のさむしろに・・・(藤原良経)
         ハヤシ三平(どうもすいません、もうたいへんなんすから)




    ・・・・・・・・・・・・・・・   


 それにしてもインフルエンザも多くて、
今日は、確診が2ケタだった。



 こっちも早く片付かないと困るなあ。



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プロフィール

おぐぐー

Author:おぐぐー
昭和60年群馬大卒
開業医4人を中心としたロックバンドC.R.P.のリード・ボーカル&ギター担当
浦和レッズ・オフィシャル・サポーターズ・クラブ会員
家族:妻(耳鼻科医)1男1女1犬(柴犬)
http://ogujibi.com/

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