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ロックな高校生(第10話)

 市民会館大ホールの、緞帳(どんちょう)。

 子供の頃から、「オズの魔法使い」や「群馬交響楽団」や「柿山伏」やなんかで
学校行事でここに来て、この緞帳が上がるのを見たけど
(そのあと、公演が始まってからは、途中から客席で大体寝てたけど)
ステージの側から見るのは、初めてだ。

 会場は、暗くて、よく見えない。

 1曲目は「ストレンジ・カインド・オブ・ウーマン」。
イントロの、ギターとドラムは直前までナカナカあわなかったけど、
E君、今日は、バッチリじゃん。

 よーし、いい感じで始まった。

すると、突然ベースの音が消えた。

 どーした、O。

 間奏のときに様子を見に行くと、
どうも、シールド(楽器とアンプをつなぐケーブル)のトラブルらしい。
早くナントカしろー。

 しかし、女子高のNちゃんの件といい、こいつ、ついてねーなー。

 その瞬間、ステージの照明が、ストロボに切り替わった。
パッ、パッ、パッと光が点滅するので、ちょうどコマ送りのように姿が消えたり現れたりする。
O君は、がんばってアンプの前で格闘してるが
何か、コマ送りの動きがドリフのコントのように見えてしまった。(すまん。)


 そして、何とか復旧。

2曲目は「ラブ・チャイルド」。
曲後半からの、シンセがポイント。
これも練習では、ナカナカあわなくてギターのEと、キーボードのSはケンカしてたなー。
ボーカル的にはこの曲が一番きついので、これが無事終わって、一安心。

 で、最後はオリジナル「オールド・キャッスル~」だ。
大きなミスもなく、全体に気持ちよく演奏できた、と思う。
まあ、緊張してて、あっという間に終わっちゃった感じですが・・・。



 コンサートが終わって、来てくれた同級生に
「いやー、よかったよ。」
「カッコよかったじゃん。」
と口々に祝福された。
 バンドやってる先輩に
「オメーら、よかったじゃん。打ち上げに、飲みいくか?」
と誘われたが、酒も飲んだことのない我々は
「イエ、今日は遠慮しときます。」
と、断り、じゃあ、また、と別れて、おのおの家路に向かった。

 帰り道、また、ロンドンブーツでこぎにくい自転車をこぎながら
この数ヶ月の出来事を考えた。
これでバンドも、一区切り、今後はどうなるだろう。
少なくとも、こんな大きなイベントはないだろう
それより親父も死んで、俺はどうする、どうなる。
来年は、受験だし。

 夜の街、一人自転車をこいで行くと、もう息が白い。
そうか、女子高のライブの準備を始めた頃は、まだ暑かったけ。
 コンサート会場から、まとわりついてきた熱気を、晩秋の夜風が冷ましていく。

来年、再来年の今頃は、オレはどこにいて、何してんだろうなー、
などと考えながら黙々とペダルを踏む、17の夜でした。


         ~ロックな高校生 ・ 完 ~


さて、長らくご愛読いただいた、ロックな高校生の巻は
今回で、最終回です。
次回作にご期待ください。


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コメント

ええっ?!

 なんと、単なる機材トラブルだったのですか!
私はてっきり緊張を解く為と、お客さんに「あれ?なんかあったんすか?」と思わせて演奏者側に感情移入させる為の高等テクニックだと31年間思ってました。
 以降、自分のステージでも何度かまねしてましたし。

 にしても読み応えある傑作ありがとうございました。

傑作です!

ひとり、パソコンの前でニヤリとしたり、あはは!と声にだして笑っちゃったり、最後はホロリと泣けてしまいました。

アグネスラムちゃんのポスターをはった工場跡地で練習し、近所の苦情に最中を持ってお願いにまわり、ロンブー、ベルボトムでチャリをこぐロックな高校生。その情景が目に浮かびます。

O君に「おまえの趣味もわかんねーー。」なんて言ってませんでした?


当時お父様が亡くなられたことは聞きましたが、修学旅行に行けなかったことやロックボックス当日が法要の日だったというのは初めて知りました。

さて、私がロックボックスを見に行ったかというと・・・夜の7時からだったということなので多分いってないです。(汗)そもそも、私にくれるはずだったチケットでMちゃんが自分のカレシと見に行っちゃったんじゃないの?!(確かめてみよっ)

足利市民会館には「紫」という沖縄の「DEEP PURPLE」のコピバン観に行ったなぁ。

自分たちの子供があの当時の年頃になり、娘はブラジル音楽部でパーカッションを叩き、息子は部屋でシンセドラムをポコスカ叩いています。Mちゃんの息子さん達もドラムをやっていてMちゃんのピアノとのセッションでコンサートもしたそうです。

なんだか不思議と受け継がれていくものがあるんだね。ボーカルだったのんちゃんはガンで亡くなってしまい、子供もいなかったため、あの才能も命のバトンも繋ぐことはできなかったけど。

「ロックな高校生」ホントに楽しめました。素晴らしいです。ありがとう!!

いっそ、映画化しちゃえば?!
女子高のドラムの子は志田未来ちゃんあたりでどうでしょう?!







ご感想ありがとうございます。

ボーカルの方、亡くなったのですか。
それは知りませんでした。
もっとも、実は私、よく覚えてないんですけど。

紫!これ、私も行きました。
たしかリーダーは”ジョージ紫”(笑)!
パープルは完コピなんだけどオリジナルが、
いまひとつダサかったなー。

志田未来ちゃんですかー、けっこうイメージ近いですねー。
でも、自分で言うかよ。

さて、一方あれは機材トラブルだったんですねー。
そもそも高校生のガキがステージにあがって
余裕なんてないっすよ。

この話、面白かったので、その後のアースバウンドの話もそのうち機会があれば書きましょう。

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プロフィール

おぐぐー

Author:おぐぐー
昭和60年群馬大卒
開業医4人を中心としたロックバンドC.R.P.のリード・ボーカル&ギター担当
浦和レッズ・オフィシャル・サポーターズ・クラブ会員
家族:妻(耳鼻科医)1男1女1犬(柴犬)
http://ogujibi.com/

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