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ロックな高校生リターンズ(第9話)

 ・・・ヤベエな、第1志望D判定だよ。
先日の模試の結果がかえって来た。

「判定D:志望校の変更が望ましい。」

 うーん、キビシイ。
英語、数学、物理、現国はまずまずなんだが、
化学と社会、あとなんといっても古典が
足を引っ張ってる。 

 「いずれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひたまひけるを・・・」
ったく、源氏物語なんてどこがおもしれーんだか。

 そもそも、志望校変更ったって、国立の医学部なんてどこ書いてもD判定だよ。
なんだってこんな合格圏偏差値が高いんだ。
変更して、合格率上がるなら、どこでも変更するさ。
でも、オヤジが死んで、ウチの経済状況では、国立以外は受かったって行けるわけないし、
やっぱ、何とか医学部行きたいし。
日本育英会の奨学金の面接は通ったけど、肝心の大学に入れなきゃ意味ねーよなー。


「おい、オグラ、模試どうだった?」
前の席のOが、わざわざ振り返って訊きやがる。
「うーん、あやしうこそものぐるおしけれ、といったところだな。」
「・・・・何だそりゃ。」

 「それはそうと、オグラさ、『大島式英単語』、知ってる?」
「なんだよ、オレ、オマエに教わった『試験に出る英単語』使ってるぜ。
最近あんまり進んでないけど。」
「いや、この本さ、面白いぜ、英単語をダジャレで覚えんのよ。」
「相変わらずオメエは受験オタクだなー。なになに、えーと
『Anniversary{アニバーサリー}:(意)記念日(暗記法)兄がバッサリ切られた記念日』
兄がバッサリでアニバーサリーだとー、なんじゃこりゃー。」
「な、覚えやすいだろ。」
「ちょっとこりゃ、邪道じゃねえか?」

・・・・しかしそれ以来35年、Anniversaryという単語に出会うたびに、兄がバッサリ・・・を思い出す。
やっぱ、暗記法としては正しかったのか?


「さ、そんなことより、学園祭実行委員会始まるぞ。」
「おー、行ってんべー、行ってんべー。」


 ・・・・・・

「はい、それでは2年6組の”足利の歴史遺産をたずねて”の企画は、このままでいいですね。」
「それでは、次に、有志による”バンド演奏”の企画に移りたいと思います。」

 足高祭の実行委員会である。
各参加クラス、サークル、団体の代表が出席している。

「さて、バンド演奏ですが、場所は体育館を予定していますが、バスケット部の親善試合もありますので、使用時間は2日目のみとなります。」

 我々は全員で来ていた。
「ったくもー、いーじゃん、どうせウチのバスケ部、弱ええんだから。」
「まあ、あっちは正規の部活だから、そうもいくめえ。顧問のコンドーも強えしな。」
バスケ部の顧問、体育教官のコンドーは、怖かった。


 「えー、参加希望バンドが20バンド以上提出されています。
時間的に、すべてのバンドが演奏することが難しいですが、どうしましょうか。
抽選、くじ引きで決めるという方法もありますが・・・。」
「何か、ご意見、ご提案はありますか。」


 ・・・じょーだんじゃねえ、俺たちがくじ引きで落とされてたまるか。
ここはオレがナントカせねば。

 「議長、はい、はーい。」

 「はい、どうぞ。」

 「えー、3年のオグラです。参加希望バンドが多いので、
オーディションをやって決めたらどうでしょうか。
実際に集まっての演奏が難しければ、テープ審査なら簡単にできると思いますが。」

 「えー、はい、オーディションをして参加バンドを絞るという意見が出ました。
さて、この提案に対し、何か意見がありますでしょうか。」

・・・教室はざわつくが、誰も、何も言わない。


 「では、この提案に対して、決を採りたいと思います。賛成の方は挙手をお願いします。」

 ハーイ、と手を上げたのは我々だけ・・・。

 「はい、それではこのご意見に反対の方。」

 みんなが、いっせいに手を挙げる。

 ・・・げっ、全員反対かよ。
さては、てめーら演奏に自信がねえな。


   しかし、全員反対とは・・・。


 まあ、それもこれも学園祭が3年に1回しかない、という学校のセコイ方針によるものだともいえる。
3年生のバンドは俺たちだけだが、
1、2年生だって、今回出なければ、もう次の学園祭は高校時代にはないわけだから。


 会議は紛糾して、結局その場では決まらず。


 しかし、その後1年生から、演奏できるなら、体育館でなくてもいい、
という希望が出て、結局、体育館、屋上、校庭、の3箇所に演奏場所を設けることで
すべてのバンドが参加できることになった。



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コメント

なるほど

そんないきさつがあったのですね。私達も軽音に体育館を取られて音楽室になったわけですが。

ベイシティローラーズ・・いましたね。こんなのにきゃ~きゃ~言ってる人のことは思いっきりバカにしてましたけど、お陰で「Saturday」のスペルは一生忘れません。

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プロフィール

おぐぐー

Author:おぐぐー
昭和60年群馬大卒
開業医4人を中心としたロックバンドC.R.P.のリード・ボーカル&ギター担当
浦和レッズ・オフィシャル・サポーターズ・クラブ会員
家族:妻(耳鼻科医)1男1女1犬(柴犬)
http://ogujibi.com/

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