耳鼻科の外来で日常的に行われる手術に「鼓膜切開」があります。
ほぼ毎日あるくらいポピュラーな手術ではあります。
実は「急性中耳炎」に対する鼓膜切開のタイミングは、
2回あります。
一つは急性期、鼓膜の腫れが強く、
発熱や痛みが薬でコントロールできない場合。
鼓膜切開によって痛みや高熱は速やかに改善します。
まあ、この場合は文字通り「緊急」な状況なので、
患者さんにも受け入れられやすい。
耳が痛い子に抗生剤と痛み止め出して、
今晩も痛かったり、明日も熱が高ければ来てね、
といいます。
多くは薬で何とかなりますが良くならなかった子は、
翌日、やっぱ、切った方がいいですねと言って鼓膜切開とか。
親はある程度覚悟してきますし、
もちろんすぐ結果も出る。
そして、問題となるのはもう一回のタイミング。
これは、急性中耳炎の急性期は過ぎ、
痛みも熱もないが、いつまでたっても中耳の滲出液が引かない時。
普通は2週間くらいで、水が無くなるので、
はい、終わりです、となるのだが、
3週間たっても4週間たっても動きが無ければ、
鼓膜切開を考えるわけだ。
一刻を争うわけではないので、その時、いきなりというのもアレなので、
説明をして、来週も良くなってなかったら切開しましょうね、
といって、次、来てもらうのだが。
とすると、一週間後耳を見て、
「!」 ということが意外とある。
「おお、良くなってきてるじゃん。やったね。」
ってことで、切開は見送り。
まあ、一般には
「うーん、やっぱ、ダメだったねー、切りますか。」
という場合の方がもちろん、全然多いのだが、
ずーっと何週間も治らなかったのが、
「じゃあ、今度切るね。」
といって治っちゃう例は、確かによく遭遇する。
これは、もちろん時間経過でたまたま、という場合はあるだろうが、
どうも何か 「見えない力」 が働いてるような気がする。
今度切られるのはいやだ、という子供の緊張が、何か治癒力を発生させるのか。
でも、そういう意識の無いはずの赤ちゃんでもこの手の事はあるので、
その場合は、今度切られちゃうのはかわいそう、という母親の
母性愛や気合みたいなものが、赤ちゃんに乗り移るのか。
人間の治癒力にはまだまだ「謎」が多い。
ただ、その時点で「母親の気合(?)」が切れて、
翌週に結局、やっぱ切開、ってパターンもたまにあるけど。


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コメント
おはようございます。きっと自分では気付かないうちに“治す”と言う力が発揮するのですかね(^^) 良く医者嫌いなうちの母親は『人間や動物、生きものは自分で治そうとする力があるんだから、多少の事で医者ばかり頼らないの』って言ってます(^o^; それもあるかも知れないけど、今朝自分の声がエコーがかかった感じで頭の中で響いてたのですが、一瞬で戻りました。初めての経験だったのですが、やっぱり“何処か悪いのかな”って思ったりしますよね。でも見えない力ってあるかもしれませんよね(^^)
Re: タイトルなし
お母さん、全く正しいです。
医者やってて感じますが、病気を治してるのは医者ではなくて、
人間の免疫力なんです。
医者の仕事はそれが正しく働くように導くことだと思っています。
医者やってて感じますが、病気を治してるのは医者ではなくて、
人間の免疫力なんです。
医者の仕事はそれが正しく働くように導くことだと思っています。