こなさん、みんばんは。
(おー、これ知ってるヒト古いわあ。)
「とりあえず、おぐぐ先生に訊いてみよ」のコーナーです。
こんかいは、これ。
ちょっと教えてください。
急にスイマセン。小児副鼻く炎で検索してたら見つけちゃいました
4歳の子供が副鼻腔炎と診断されて早半年以上
黄色いドロッとした鼻が出たり出なかったりという感じなので
酷くなる時にだけ病院へと言った対応をしています。
あまり私に知識がなく、薬が終われば(7日分)終わりと思っていて
後は、自然に任せて…
最近鼻水でないね♪あぁ治ったのかな?といった具合です
風邪ひきになると、一日目から黄色い鼻水が出だすと言った感じです
一時期は副鼻腔炎が気になり、鼻水が出るとすぐに病院へいっていたのですが
行きつけの先生は副鼻腔炎には触れず、
「はい!風邪だね。たんと鼻水、
咳の薬出すね」
私「あの~前に副鼻腔炎っていわれたんですが…」
と言うと
「ちゃんとその薬に副鼻腔炎にも効くの入ってるからね♪」
という感じで軽い対応だったので、私があまり深刻には考えていないんですが…
また鼻が出だして酷くなったら連れていくと言う対応でいいのでしょうか?
それと、お義母さんから通っているプールはもう辞めた方がいい!副鼻腔炎の原因だと言われたのですが
プールとの関係ってあるのでしょうか?子供も楽しみで行っているので、出来たら辞めたくないんです
実は、小児の副鼻腔炎の取り扱いは、
この投稿のあったブログ「小児副鼻腔炎の治療について」(←クリック)に詳しく書きましたので、
それをお読みいただくとして、
今回の質問に絞ってお答えしますね。
まず、どういうタイミングで受診するか、
いつまで治療を続けるか、
という点です。
そりゃ、まあ、青パナドロドロで大変なら来てください、
ですが、副鼻腔炎を心配するなら、
痰がらみの咳が続く時は要注意です。
ハナが(前には)出てなくても、
のどにまわって咳の原因になることはきわめて多い。
昼間はそれほどでもなくても、寝入りばな、起きぬけ、
走った後などに咳こむのは重要なサインです。
お母さんが「ハナは全然出ないんです。」といっても、
吸引してみると奥の方に濃いハナが充満、なんてことはざらです。
逆に、ハナが止まっても咳や痰が続いていたら、
副鼻腔炎は治ってないかも、ということです。
そこで、いつまで通院するかですが、
レントゲンで副鼻腔炎が確認されたヒトは、
もう一度レントゲンを撮り、陰影が無くなっていることを確認するまで、
というのが常道です。
もちろん、中断したけど、あとで確認したら治ってましたー、
なんてことは多いんだけど、
本人や家族は治った気になっていたが、
実は治って無かった、なんてことも間々あるので。
以前レントゲンで副鼻腔炎だったなら、
どこかで治っているかどうか確認する必要があります。
以前も書いたけど、子供のうちは治りやすいが、
中学生以上の副鼻腔炎は慢性化するとなかなか治らない場合も多く要注意です。
さて、次に水泳に関してです。
実はこの問題は専門家の間でも意見が分かれるところです。
ワタシは、基本的にはスイミング肯定派ですが、
中にはプールいかんという先生がいる事も事実です。
はっきりしたエビデンスは無いのが現状です。
ワタシとしては、スイミングにより
呼吸器系が鍛えられ、風邪をひきにくくなれば、
副鼻腔炎にかかりにくくなり、また治りも早いと考えています。
喘息の子にスイミングが推奨されるのと同じ理由です。
それに温かい湿度の高いスイミングプールでの環境は、
寒風の中、あるいは花粉がイッパイとんでる中のサッカーに比べると
鼻やのどに対して行って帰ってくるほどプールの方がいいわけです。
ただし、青っパナで完全にふさがってしまうような急性期は、
中耳炎を誘発する恐れも高いのでプールお休みしてもらいます。
寒くなってきて、外来にも急にこの手のお子さんが増えてきました。
何より、風邪をひかない、ひかせない事が、
一番のポイントです。
ま、注意しててもひくときゃ、ひくんだけど。


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先週、中学生でマイコプラズマだと修学旅行行けないので、
マイコプラズマで無い証明をしてほしい、
という患者さんが来ました。
厳密にマイコプラズマでないことを証明するのは
極めて難しく、少なくともその場でわかるものではないのですが、
熱もなく咳も治まってきていたので、
もちろん修学旅行大丈夫ですよとお話をしましたが、
この「マイコプラズマ」やっかいです。
何が、やっかいって、マイコプラズマという病名が出たとたんに、
状況がややこしくなる。
保育園で、マイコプラズマが流行ってます、
学校でマイコプラズマかどうか調べてこいと言われました、
マイコプラズマじゃないんでしょうか、
先週小児科でマイコプラズマといわれました・・・・・、
この手の話が多く、うんざりです。
マイコプラズマはマイコプラズマ・ニューモニエという病原体により
引き起こされる疾患ですが、
この病原体はウイルスよりは大きいですが一般細菌よりは小さく、
肺炎球菌などのように通常の培養検査では診断できません。
インフルエンザキットのような迅速診断キットもありますが、
健常者でも抗体陽性で出るため、
ほとんど当てにならず、使われていません。
(じゃあ、なんで、こんな製品があるんだ?)
確定診断はペア血清といって、2週間程度の間をおいて2回採血し、
その間の抗体の上昇を見て診断しますが、
時間も手間もかかり一般的ではありません。
そこで、マイコプラズマかも知れない、とか
マイコプラズマの疑いもあり、とか
マイコプラズマっぽいねー、
などという感じで診断されてるものがほとんどです。
医療機関でマイコプラズマといわれた方のうち、
本当のマイコプラズマは一部だと思うし、
逆にマイコプラズマでも病院にかからず
自然に治っちゃってる人もいっぱいいるでしょう。
マイコプラズマはいわゆる「咳の風邪」のひとつで
通常は4歳以下はかかりにくく、
かかっても多くは不顕性(症状が出ない)か軽症です。
これは、マイコプラズマの病原性が、
病原体そのものよりも感染したヒトの免疫の過剰反応によるものが
多く関与するためといわれています。
一般的には自然治癒しますが、
マクロライド系の抗生物質が効くため、
高熱などの重症例、症状が遷延する例などには、
クラリスやジスロマックなどを使います。
ただ近年、このマクロライドの濫用によると思われる
菌の耐性化が急速で、7割以上に効かない、というデータもあります。
テトラサイクリン系のミノマイシンやニューキノロン系のオゼックスは
耐性マイコプラズマにも効果がありますが、
最初から使う薬剤ではありません。
特に、2歳以下の子供の咳の風邪で、
マイコプラズマかも知れないから、ということで
いきなりオゼックスなんか飲ます必要は全くありません。
この「マイコプラズマ」という病名に、
周囲、特に学校の保険の先生が敏感になり、
過剰反応を示すのは、マスコミの影響が大きいのでは。
RSウイルスも普通の風邪なのに、
特殊なとらえられ方をして説明に苦労する。
当院でもRSの検査キットは一応おいてますが、
まだ、使ったこと無いなあ。
幼稚園児でRS調べても意味無いし、
そもそも、0歳児以外は保険とおりませんです。
特に、インフルエンザに迅速診断キットが導入されてから、
マイコプラズマやRSウイルスなどの病名が独り歩きし、
混乱を招いているように思えてなりません。
うーん、咳が長引いてるが、
副鼻腔炎等もないのでマイコプラズマも疑って、
抗生物質出してみます、
などと説明するんだけど、
マイコプラズマっていう言葉を出すと、
また騒ぎになるといやだなあ、と思い
どうやって説明しようか迷ってしまう。
これぞ、迷子プラズマ。


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風邪は早目の対処が肝心、
コレはマルかバツか?
まあ、常識的にほとんどの人がマルをあげるでしょう。
コレは、もちろんマルで正解です。
じゃあ、
風邪をひいたので早目に病院を受診する、
コレはマルかバツか?
さて、皆さん、いかが?
実はコレは必ずしも正しいとは言えません。
おいおい、医者がそんなこと言っていいの?
そのわけを考えてみましょう。
みなさんは、こんなジョークをご存知でしょうか。
風邪の時、ほうっておくと治るまで3日もかかるが、
医者にかかるとたった72時間で治る。
コレはかなり正しい。
風邪は基本的にウイルス感染なので、
風邪そのものの薬はない。
熱を下げる薬や、咳を緩和する薬や、
痰を切りやすくする薬はありますが、
風邪を治すわけではない。
風邪は体が病原ウイルスに対する抗体をつくって
ウイルスを身体から駆逐すれば治るので、
早くお医者さんにかかっても、
風邪が早く治ることはないのだ。
もちろん、インフルエンザや、急性中耳炎などは、
治療が遅れると治るのに時間がかかるのは事実だが、
他の一般の風邪は早期に病院に来てもらっても
はっきり言ってすることがない。
まあ、お子さんの場合など熱が中耳炎の場合があるので
よく中耳炎を起こす方は
耳などの症状が無くても、
受信していただいて
確認することは意味があります。
特に小さいお子さんの場合は症状を自分から伝えることが
うまく出来ないので中耳炎を見逃す可能性があります。
ただ、中耳炎がなく、鼻も咳もなければ、
高熱であっても特に薬を出すことはないので、
そのまま帰って様子を見ていただく。
熱がなかなか下がらないとか、
一旦下がった熱が再び上がるとか
咳や鼻やその他の症状がヒドイようなら
また受診してもらうということです。
困るのは大人の人で仕事休めないから、
点滴かなんかして早く治して欲しい、などという例。
点滴神話は困りもので、
早いうちに点滴でもすれば風邪が早く治ると
誤解してる人が結構いるということ。
風邪に効く点滴なんてこの世に無いですから。
さて、最初の質問の解答です。
風邪の時は早目の対処が肝心、
早目の対処とは病院に行くことでも薬を飲むことでもなく
あったかくして早く寝ること。
免疫作用は眠っている時に最も有効に働く。
それでも良くならなかったら、
お医者さんに行きましょう。


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「ためしてガッテン」というNHKの番組がある。
地上波をほとんど見ないワタシとしては、
結構見てる番組である。
料理の話と健康の話が大半を占めるが、
先日は「耳管開放症」がテーマであった。
こっちとするともう話のネタはよーく知ってる話なので、
いつもとは違った立場で番組を見ることになった。
印象は、意外にも
回りくどい、わかりにくい、誤解を招き易い、
表現だったので、びっくりした。
考えてみれば、事実を淡々と説明したのでは
視聴者の興味を引くことができないので、
わざとわかりにくく「謎の~」とか
「耳鼻科医も知らない~」とかの表現をつけ、
「耳が全く聞こえなくなることがある」
とか
「巨大耳あかが脳に浸潤して命にかかわる」
などといった
センセーショナルな話で脅かそうとする。
巨大耳あかとは「真珠腫」のことで、
確かに全く間違ってるとは言えないが、
普通の耳あかとは全く別モノだし、
鼻すすり型耳管開放症から脳内に浸潤するような真珠腫ができることは、
ほとんど全くまれである。
その昔、みのもんた氏のお昼の番組で、
いろいろな疾患にテーマを定めてとりあげる番組があった。
たいがい、学会では聞いてこともないような、
怪しげな医者(?)が出てきてショッキングなコメントをし、
会場のオバサンたちに悲鳴や歓声をあげさせるのが目的の
粗悪な番組であった。
プロがみればあきれるような内容なんであるが、
当時、ウチの死んだバアちゃんなどは、結構見ていた。
食事中などにふいにバアちゃんが
「○○って怖いんだってねー。」
などと言い出すと、
「また見たな、あの番組見ちゃダメっていってるでしょ。」
とたしなめるのだが、
またこっそり見ていて、
見るとどうしても人に言いたくなって、
また言って、
内容が内容なので、すぐバレてまた注意される、なんて事をしてたなあ。
さすがにあの番組はヒドかった。
ただ今回、専門家として招かれていた東北大耳鼻咽喉科の小林教授は、
人間的にも学問的にも大変立派な先生で、
間違いなく耳管開放症については日本の第一人者であり、
ワタシも何回も講演を聞いたことがあるし、
実際に当院から患者さんを紹介して耳管開放症の手術をお願いしたこともある。
多分、放送局の意向であんな演出になり、
ご本人もある意味、心外なのではなかろうか。
民放地上波はハナから信用がおけないが、
天下のNHKがあれでは困るなあ。
今回の「ガッテン」も間違ったことを言ってるわけではないが、
真実がちゃんと伝わっているかは疑問である。
耳管開放症については、以前当ブログで解説したので、
その辺知りたい方はこちらをご覧ください。
ちょうど2年くらい前のブログです。
↓クリックしてお読みください。
「耳管開放症の中島美嘉さん」
「耳管開放症の治療」
そう思ってみると、ワタシがふんふん、へえー、と思いながら見ている、
耳鼻科以外の他科の疾患の話も、
ある程度歪曲された話も多いのだろうかと、
けっこう不信感を持ったりしちゃいます。


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エレファントカシマシとかいうバンドのヒトが
突発性難聴で休業だそうだ。
実はこのバンド名前以外はほとんど全く知らないんですが、
突発性難聴について少しお話をします。
突発性難聴はある日ある時突然に片耳の聞こえが悪くなる病気で
原因は不明です。
というより、原因不明のものにこの病名がつきます。
原因が分かっているものは「騒音性難聴」とか
「ウイルス性難聴」とか「薬剤性難聴」の病名がつくわけだ。
難聴と同時に耳鳴りがおこり、
場合によっては難聴が自覚されず
耳鳴りだけが唯一の症状である場合も
少なくありません。
音を感じ取る神経細胞の障害で
感音性難聴に分類されるが、
その中では比較的治ることの多い疾患です。
程度は様々で、ごく軽度の難聴から
ほとんど聾になってしまうものまであります。
頻度的には比較的多く、
当院のような個人の診療所でも週に何人かは初診の方がいます。
原因は不明ですが、
治療はほぼ手順が決まっており、
中心となるのはステロイド剤です。
通常は内服で経過を見ますが、
場合によっては入院加療をすることもあります。
治り方も様々で、
薬もなにもなくても治っちゃう人もある一方、
どんなことをしても聴力が回復しない人がいます。
4割は完全治癒、3割は改善、残り3割は聴力の改善なし、
と言われますが、ワタシの感触ではもっと治癒率は高い印象です。
まあ、開業医には救急車で搬送されるような重症例が少ないので、
全体としてはこんなものかもしれませんが。
確実に言えることは、
発症から治療開始が早いほど治る確率が高く、
逆に1ヶ月以上経過したものは一般的には治りません。
植木鉢のお花がしおれた時点で水をやると復活しますが、
完全に枯れてしまうと戻らない、
という感じです。
めまいを伴う例もあり、
めまいにとらわれて内科、脳外科などで治療を行い
耳鼻科的な診断が遅れると難聴が残ってしまう場合があります。
もちろん当初の内耳のダメージが強く、
早期からきちんとした治療をしても
聴力が戻らない方もあります。
人間の体の様々な組織は再生能力がありますが、
神経細胞は再生しないので
一旦死んでしまうともう戻らないのです。
ステロイドが奏功しない場合は高圧酸素療法や
星状神経節ブロックなどの補助的療法を追加することもありますが、
あくまで補助的療法であって、
これやれば絶対治る、
という治療法は今のところありません。
浜崎あゆみさんや元ウインクの相田翔子さんも
突発性難聴だったときいています。
ただ、今回のエレファントカシマシの方は
入院して手術までされたとか。
突発性難聴の手術ってあまり聞いたことないのだけれど、
何やったんでしょうか?
ワタシが不勉強なだけなのか?
ともかく、お大事に。


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突発性難聴で休業だそうだ。
実はこのバンド名前以外はほとんど全く知らないんですが、
突発性難聴について少しお話をします。
突発性難聴はある日ある時突然に片耳の聞こえが悪くなる病気で
原因は不明です。
というより、原因不明のものにこの病名がつきます。
原因が分かっているものは「騒音性難聴」とか
「ウイルス性難聴」とか「薬剤性難聴」の病名がつくわけだ。
難聴と同時に耳鳴りがおこり、
場合によっては難聴が自覚されず
耳鳴りだけが唯一の症状である場合も
少なくありません。
音を感じ取る神経細胞の障害で
感音性難聴に分類されるが、
その中では比較的治ることの多い疾患です。
程度は様々で、ごく軽度の難聴から
ほとんど聾になってしまうものまであります。
頻度的には比較的多く、
当院のような個人の診療所でも週に何人かは初診の方がいます。
原因は不明ですが、
治療はほぼ手順が決まっており、
中心となるのはステロイド剤です。
通常は内服で経過を見ますが、
場合によっては入院加療をすることもあります。
治り方も様々で、
薬もなにもなくても治っちゃう人もある一方、
どんなことをしても聴力が回復しない人がいます。
4割は完全治癒、3割は改善、残り3割は聴力の改善なし、
と言われますが、ワタシの感触ではもっと治癒率は高い印象です。
まあ、開業医には救急車で搬送されるような重症例が少ないので、
全体としてはこんなものかもしれませんが。
確実に言えることは、
発症から治療開始が早いほど治る確率が高く、
逆に1ヶ月以上経過したものは一般的には治りません。
植木鉢のお花がしおれた時点で水をやると復活しますが、
完全に枯れてしまうと戻らない、
という感じです。
めまいを伴う例もあり、
めまいにとらわれて内科、脳外科などで治療を行い
耳鼻科的な診断が遅れると難聴が残ってしまう場合があります。
もちろん当初の内耳のダメージが強く、
早期からきちんとした治療をしても
聴力が戻らない方もあります。
人間の体の様々な組織は再生能力がありますが、
神経細胞は再生しないので
一旦死んでしまうともう戻らないのです。
ステロイドが奏功しない場合は高圧酸素療法や
星状神経節ブロックなどの補助的療法を追加することもありますが、
あくまで補助的療法であって、
これやれば絶対治る、
という治療法は今のところありません。
浜崎あゆみさんや元ウインクの相田翔子さんも
突発性難聴だったときいています。
ただ、今回のエレファントカシマシの方は
入院して手術までされたとか。
突発性難聴の手術ってあまり聞いたことないのだけれど、
何やったんでしょうか?
ワタシが不勉強なだけなのか?
ともかく、お大事に。


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北朝鮮飯店のライブが終わっての連休は翌週の学会の準備。
昨日行われた研究会での発表原稿をまとめていたのだ。

会場は足利市民プラザ小ホール。
ここは、オーディオメトリーで一回、CRPで一回ライブをやったことがあるなあ。
でも今日はギターは無しです。

今年のスギ・ヒノキ花粉症と来年の展望について
マジメに 講演して参りました。
でも、最後はこんなスライド出したりして。

終了後の懇親会、他の先生方と「まつむら」さんでお食事。
実は、ここの娘さん、今年何と群馬大医学部に合格!
ワタシ(と妻の)後輩となったのだ。

せっかくですので写真に入ってもらう。
おめでとうございます。
「まつむら」さんも昔から良く美味しいお料理をごちそうになっていますが
娘さんの方も風邪ひくとウチかかったりして良く知ってるのだ。
足利出身の、しかも知り合いが後輩になるとは
こちらも大変ウレシイです。
良いお医者さんになってください。


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コメント欄にいただいたご質問にお答えします。
(質問の内容は右コメント欄をクリックしていただけると読めます。)
高齢者にいきなりニューキノロンを使うのは最終手段だ、
の論拠ですね。
そのコメントは、おそらく単純に年齢と原因菌いうより
高齢者とニューキノロンとの関わりで述べられたものではないでしょうか。
青カビから発見されたペニシリンを端緒とする抗生物質は
セフェム系、マクロライド系など様々なグループがありますが、
基本的に土壌の微生物が産生する天然の物質をもとにしています。
一方ニューキノロン系と呼ばれる薬は人工的に合成された薬で、
抗生物質と同じく抗菌薬ではありますが合成抗菌薬と呼ばれます。
クラビット、ジェニナック、オゼックスなどが代表的です。
主として腎排泄が多く尿路感染症でのみ用いられていたキノロン剤ですが
1980年代初頭に従来のキノロン剤から抗菌力、抗菌スペクトルが
飛躍的に進化したバクシダールが発売され
ニューキノロン系と呼ばれるようになりました。
ちょうどワタシが医者になった頃の話です。
ニューキノロン系の特徴は高い組織移行性と
広い抗菌スペクトル、そして高い殺菌能力です。
その一方で発疹、胃腸症状などの通常の抗菌薬にある副作用の頻度も比較的高く、
ニューキノロンに特徴的な血糖値異常や関節毒性、
横紋筋誘拐症や腎不全などの時に重篤な副作用も報告されています。
症例を選んで使えば切れ味は鋭いが、
なんでもかんでも使うべきではない薬です。
抗菌スペクトルの広さから通常は内服では殆ど効かない
緑膿菌などの耐性菌にも有効です。
緑膿菌は弱毒菌なので健常者に感染を起こすことは稀ですが、
耳鼻科領域では慢性中耳炎と外耳道炎では常に主要な原因菌です。
とびひは夏場の子供に多い病気ですが原因菌は主として黄色ブドウ球菌です。
通常はセフゾンなどがよく効きますが
最近耐性ブドウ球菌によるとびひをとこどき見ます。
耳鼻科は培養を取るので、
たまたま、皮膚科でなかなか良くならなかったとびひに対し、
原因菌を特定し、皮膚科の先生にニューキノロンの使用を推薦したところ
軽快して感謝されたことが何回かありました。
空気のないところで発育する嫌気性菌というグループの細菌があります。
ニューキノロンはこの手の菌にも有効です。
これも通常はあまり遭遇しませんが
耳鼻科領域では慢性副鼻腔炎の急性増悪や扁桃周囲膿瘍では原因菌になる場合が少なくありません。
特に副鼻腔内は薬剤の移行が悪いので組織移行性の高いニューキノロンは有効です。
マイコプラズマは乳幼児には少ないですが、
学童期から大人、老人までの咳の風邪としては常に念頭におくべき疾患です。
通常のペニシリン系、セフェム系の抗生物質が効かないので、
クラリス、エリスロマイシンなどのマクロライド系の抗生物質が用いられてきました。
ただ、近年、というよりこの2,3年マイコプラズマに
このマクロライド系の抗生物質が急速に効かなくなってきてしまいました。
現時点で耐性率は7割超とも言われています。
ニューキノロンはこのマイコプラズマにもよく効くので
マクロライドでコントロールできない場合の2次選択薬として有用です。
しかし、現時点でニューキノロンを第1選択で用いるべきではないでしょう。
マイコプラズマは確定診断が難しく疑い例で治療を行うことがほとんどです。
そもそもマクロライド系が効かなくなった背景には
マクロライド系抗生物質の不適切な使いすぎがあります。
マイコプラズマが多くは自然治癒する病気である事を考えれば
ニューキノロン剤は最後の手段として温存しておかねばなりません。
そんなわけで、その先生の真意は、
確かにニューキノロンはよく効く薬であるが、
そのニューキノロンが効かなくなると手の打ちようが無くなる場合があり、
ことに老人の場合には肺炎などの時に致命的な感染症の例があるということ。
そして、ニューキノロンそのものが持つ
重篤な副作用を惹起する危険性を常に考慮する必要があること。
この2点を踏まえて発せられたコメントではないでしょうか。
つまりもっと診断力を磨け、ということでしょうかね。


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最高気温は連日30度超えであるが、
朝晩の気温は徐々に下がりつつある。
朝、犬の散歩にいくと
最後のミンミンゼミが過ぎゆく夏に
必死にしがみついているかのように啼いている。
犬のリードを持つ背中に感じる朝陽に夏の名残りの温度を感じつつも、
頬に当たるわずかな冷気は明らかに秋のそれである。
そして耳鼻科の外来の様子もほのかにに秋の気配を感じさせる。
真夏によくなってしまう鼻炎や耳管狭窄症、中耳炎などが
再びジワリと増えつつある。
人間の体には気圧や気候の変化に対するセンサーが備わっている。
この気圧の変化が耳の不快感として感じられている。
環境や生活が完全にコントロールされた現在では
ほとんど意味がないが、
まだヒトがケモノだった頃は
気圧や天候の変化は場合によっては個体の生死を分けるほど
重大な問題だったはずだ。
気圧の低下は天候の悪化の前触れであり
野生動物にとっては一刻も早く知りたい情報である。
世代間のDNAの伝承という気の遠くなるような回数の
積み重ねによって獲得した機能は、
その後ヒトという生物の生活態度の変化により
その機能の必要性の減少によって
表に出ることがなくなったものの、
それでも遺伝子の箪笥の奥の方に折り畳まれ仕舞われている。
目や耳と言った特定の感覚器ではなく、
体のいろいろな部分からそれを感じ取っているのだろう。
例えば食べ物の味が味覚の神経だけでなく、
嗅覚や触覚、温痛覚などの総合的感覚として
知覚されるように、
複数のセンサーが重なりあって知覚していると考えられる。
皮膚や消化器およびそれ以外の未知のセンサーと共に
鼓膜の張力(聴力ではなく)は確実にその一役を担ってると考えられ、
耳管狭窄症の人や耳管開放症の人などは
この時期になると不調を訴える方が多い。
鼓膜の動きに対する気圧の影響だけでないことは、
鼓膜に穴が空いていて気圧の変化を受けないはずの人が
耳の不快感を訴えることでもわかる。
おそらく耳管などにもそのセンサーがあるのだろう。
そして耳以外にも、めまいや消化器運動や、ホルモン分泌の異常、
抑うつ気分や不眠症にまで気圧の変化は影響を及ぼしているのではないだろうか。
台風がくると喘息の発作を起こしたり、
雨が降ると関節が痛むなんてのも
古来のDNAに組み込まれたセンサーの遺残が働いているのだろうなあ。
いわゆる「野生の本能」は言葉ヅラより
実はよっぽどナイーブなものだったりするのである。


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先週末、大阪までタイトなツアーを強行したが、
実はワタシ、健康に若干の問題を抱えていた。
金曜日から何となく喉が痛く、
ああ、風邪ひいたかなあという気がしていたが、
夜もフツーにスイミングなど行っていた。
土曜日になり嚥下痛が増し、
何となく身体もだるく首筋がいたい。
嚥下痛は夏風邪だろうか、
首や身体のだるさは風邪のせいか
それとも昨夜のバタフライのやり過ぎなのやら、
何かわからず。
念のためロキソニンを2錠、チケットホルダーに
忍ばせて出かけたが
大崩れもなく酒も飲んで夜行列車で翌朝帰宅。
日曜日は自宅でブログを書いたりギターの練習したりして
おとなしく過ごしていたが、
寝台車でぐっすり寝たせいか体調はやや良くなっていた。
しかし、夕方になり体のだるさ、嚥下痛はやや増加。
首のぐりぐりが痛くなり、
なんか、体も痒い。
まさかアルコール性の肝障害じゃ無いだろうなあ。
うーん、マズイなあ。
結局、夜はアルコールを飲む気にならず
夕食時はノンアルコールビールにした。
さあ、もう今夜は早く寝ようと寝室に向かう途中
ふとある病名が閃光のように頭に浮かんだ。
ああ、そうだ、そうだ、それだ。
間違いない、もう、そうに決まった。
あらゆる状況が腑におちた。
翌朝、アサイチで妻に頼んで
診察室で検査してもらう。
やはり、ビンゴ!
「溶連菌感染症」であった。
毎日毎日、何人もこの診断してるのに……。
溶連菌感染症は通常、唾液等の接触で感染し、
空気感染は無く、飛沫感染も稀である。
子供だと、高熱や発疹、イチゴ舌など、
派手な症状が出る場合もあるが、
大人は熱が出ない事も多い。
そう言えば、この間、診察中、子どもさんのツバが
口に入ったような気がしたわ。
オレいつもマスクしてないからなあ。
ふだん、風邪の時には薬は飲まないワタシだが
溶連菌となれば、抗生物質を飲まねばならない。
早速、朝からパセトシンを飲みはじめ、
夕方にはもう殆ど症状が改善しました。
さすが、効くなあ。
溶連菌感染症は風邪と違い細菌感染なので
ウイルス性の風邪よりはるかに症状は早く良くなるのだ。
しかし、今後除菌のため
10ー14日程度抗生物質を飲み続ける。
人にいうのは容易いが、
自分となるとメンドクサイなあ。
一回飲むと一週間効果が持続する
ジスロマックなる抗生物質もあるのだが
ちょっとこれも問題あり。
殆どの抗生物質が効いちゃう溶連菌だが、
ここ数年、見ていると
ジスロマックを含むマクロライド系の
抗生物質に限って薬の効かない耐性株が増えている。
そんなわけで、教科書通り、
ペニシリンをコツコツ飲むのが無難でしょう。
妻いわく
「レディアちゃんがご飯食べない時と
父ちゃんがお酒飲まない時はよっぽど具合悪いのよねー。」
・・・・お騒がせしました。


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実はワタシ、健康に若干の問題を抱えていた。
金曜日から何となく喉が痛く、
ああ、風邪ひいたかなあという気がしていたが、
夜もフツーにスイミングなど行っていた。
土曜日になり嚥下痛が増し、
何となく身体もだるく首筋がいたい。
嚥下痛は夏風邪だろうか、
首や身体のだるさは風邪のせいか
それとも昨夜のバタフライのやり過ぎなのやら、
何かわからず。
念のためロキソニンを2錠、チケットホルダーに
忍ばせて出かけたが
大崩れもなく酒も飲んで夜行列車で翌朝帰宅。
日曜日は自宅でブログを書いたりギターの練習したりして
おとなしく過ごしていたが、
寝台車でぐっすり寝たせいか体調はやや良くなっていた。
しかし、夕方になり体のだるさ、嚥下痛はやや増加。
首のぐりぐりが痛くなり、
なんか、体も痒い。
まさかアルコール性の肝障害じゃ無いだろうなあ。
うーん、マズイなあ。
結局、夜はアルコールを飲む気にならず
夕食時はノンアルコールビールにした。
さあ、もう今夜は早く寝ようと寝室に向かう途中
ふとある病名が閃光のように頭に浮かんだ。
ああ、そうだ、そうだ、それだ。
間違いない、もう、そうに決まった。
あらゆる状況が腑におちた。
翌朝、アサイチで妻に頼んで
診察室で検査してもらう。
やはり、ビンゴ!
「溶連菌感染症」であった。
毎日毎日、何人もこの診断してるのに……。
溶連菌感染症は通常、唾液等の接触で感染し、
空気感染は無く、飛沫感染も稀である。
子供だと、高熱や発疹、イチゴ舌など、
派手な症状が出る場合もあるが、
大人は熱が出ない事も多い。
そう言えば、この間、診察中、子どもさんのツバが
口に入ったような気がしたわ。
オレいつもマスクしてないからなあ。
ふだん、風邪の時には薬は飲まないワタシだが
溶連菌となれば、抗生物質を飲まねばならない。
早速、朝からパセトシンを飲みはじめ、
夕方にはもう殆ど症状が改善しました。
さすが、効くなあ。
溶連菌感染症は風邪と違い細菌感染なので
ウイルス性の風邪よりはるかに症状は早く良くなるのだ。
しかし、今後除菌のため
10ー14日程度抗生物質を飲み続ける。
人にいうのは容易いが、
自分となるとメンドクサイなあ。
一回飲むと一週間効果が持続する
ジスロマックなる抗生物質もあるのだが
ちょっとこれも問題あり。
殆どの抗生物質が効いちゃう溶連菌だが、
ここ数年、見ていると
ジスロマックを含むマクロライド系の
抗生物質に限って薬の効かない耐性株が増えている。
そんなわけで、教科書通り、
ペニシリンをコツコツ飲むのが無難でしょう。
妻いわく
「レディアちゃんがご飯食べない時と
父ちゃんがお酒飲まない時はよっぽど具合悪いのよねー。」
・・・・お騒がせしました。


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ちょっと前に「ペリトン」すなわち「扁桃周囲膿瘍」のお話をしました。
読んでない人はクリックして参照⇒「扁桃周囲膿瘍の話」
いわゆるのどの痛みで、もう一つ重要な病気が
「急性喉頭蓋炎」です。
喉頭蓋とは、のどの奥にあり口から飲みこんだ食物が
気管に入らないように蓋をする、
靴べらみたいな形をした軟骨板です。
ここに感染がおきて腫れあがると、
患者さんは激しいのどの痛み、特に嚥下痛といって、
物を飲み込む時に強い痛みを感じます。
通常は扁桃周囲膿瘍と同じく風邪症状から始まりますが、
やはり扁桃周囲膿瘍と同じく、手遅れになると死に至ることのある疾患です。
ただ、扁桃周囲膿瘍との大きな違いは、
口をあーんと開けただけではワカラナイ、という点です。
扁桃周囲膿瘍はその口の中の所見を見て、
内科の先生があわてて耳鼻科を紹介すると書きました。
一方喉頭蓋は、のどのやや奥になるので、
普通に内科の先生がみても、そこまでは見えません。
ちょっとのどが赤い位だなあ、
このヒトはおおげさなヒトなんだなあ、
と思ってしまう場合があります。
で、適当に薬を出してそのまま帰すと、
数時間のうちに腫れあがった喉頭蓋が気道をふさぎ、
呼吸困難になったが救命間に合わず死亡、
などという事例が時々起きます。
状態が悪化するまでの時間はペリトンよりさらに早い。
扁桃周囲膿瘍が気道のスペースが広い部分での疾患であるのに対し、
喉頭蓋炎は気管のすぐ上の狭い部位での腫脹をきたすので、
短時間のうちにあっという間に窒息し致死的状況になってしまいます。
救急外来でも耳鼻科の医師がいないと発見が困難なので、
しばしば医療訴訟になることの多い疾患です。
耳鼻科医がみると外来ですぐその重症度がわかるので、
大事に至ることはありませんが、
内科の先生が診断するのは大変だろうなあと思います。
この間来た患者さん。
のどの痛みで内科の病院を受診し、風邪と言われ
点滴もしたが、嚥下痛が強く翌日朝、自己判断で当院を受診。
普通にしゃべれるし、熱も高くなく全身状態も良好。
大したこと無いのかな、と喉頭を見ると、
おお、急性喉頭蓋炎じゃあ。
すぐ患者さんに説明し、紹介状を書いてその足で日赤に行ってもらう。
即入院し、治療を開始してもらった。
その晩、ちょうどカンファランスで日赤に行く用事があったので、
日赤の先生に、
「どうだった?」
と、尋ねると、
「点滴でかなり強力に薬を入れたんですが、
腫れが強くて、やっぱり午後キセツしました。」
との返事。
「キセツ」は「気切」と書き「気管切開」の事である。
ああ、やっぱりね。
気管切開は窒息を防ぐためにのどを切って気管に呼吸路を確保する手術である。
つまり、そのまま帰宅させたら死んじゃってたかもしれないわけだ。
危ないところでした。
よかったですね。


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いわゆるのどの痛みで、もう一つ重要な病気が
「急性喉頭蓋炎」です。
喉頭蓋とは、のどの奥にあり口から飲みこんだ食物が
気管に入らないように蓋をする、
靴べらみたいな形をした軟骨板です。
ここに感染がおきて腫れあがると、
患者さんは激しいのどの痛み、特に嚥下痛といって、
物を飲み込む時に強い痛みを感じます。
通常は扁桃周囲膿瘍と同じく風邪症状から始まりますが、
やはり扁桃周囲膿瘍と同じく、手遅れになると死に至ることのある疾患です。
ただ、扁桃周囲膿瘍との大きな違いは、
口をあーんと開けただけではワカラナイ、という点です。
扁桃周囲膿瘍はその口の中の所見を見て、
内科の先生があわてて耳鼻科を紹介すると書きました。
一方喉頭蓋は、のどのやや奥になるので、
普通に内科の先生がみても、そこまでは見えません。
ちょっとのどが赤い位だなあ、
このヒトはおおげさなヒトなんだなあ、
と思ってしまう場合があります。
で、適当に薬を出してそのまま帰すと、
数時間のうちに腫れあがった喉頭蓋が気道をふさぎ、
呼吸困難になったが救命間に合わず死亡、
などという事例が時々起きます。
状態が悪化するまでの時間はペリトンよりさらに早い。
扁桃周囲膿瘍が気道のスペースが広い部分での疾患であるのに対し、
喉頭蓋炎は気管のすぐ上の狭い部位での腫脹をきたすので、
短時間のうちにあっという間に窒息し致死的状況になってしまいます。
救急外来でも耳鼻科の医師がいないと発見が困難なので、
しばしば医療訴訟になることの多い疾患です。
耳鼻科医がみると外来ですぐその重症度がわかるので、
大事に至ることはありませんが、
内科の先生が診断するのは大変だろうなあと思います。
この間来た患者さん。
のどの痛みで内科の病院を受診し、風邪と言われ
点滴もしたが、嚥下痛が強く翌日朝、自己判断で当院を受診。
普通にしゃべれるし、熱も高くなく全身状態も良好。
大したこと無いのかな、と喉頭を見ると、
おお、急性喉頭蓋炎じゃあ。
すぐ患者さんに説明し、紹介状を書いてその足で日赤に行ってもらう。
即入院し、治療を開始してもらった。
その晩、ちょうどカンファランスで日赤に行く用事があったので、
日赤の先生に、
「どうだった?」
と、尋ねると、
「点滴でかなり強力に薬を入れたんですが、
腫れが強くて、やっぱり午後キセツしました。」
との返事。
「キセツ」は「気切」と書き「気管切開」の事である。
ああ、やっぱりね。
気管切開は窒息を防ぐためにのどを切って気管に呼吸路を確保する手術である。
つまり、そのまま帰宅させたら死んじゃってたかもしれないわけだ。
危ないところでした。
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